沖振法の10年延長「大変な価値」 沖縄の経済から期待の声


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 沖縄振興特別措置法(沖振法)の10年延長を含む沖縄関係5法の改正法案が31日、参院本会議で全会一致で可決され、成立した。沖振法は社会情勢の変化に対応するため、5年以内の見直し規定も設けた。経済界からは、新型コロナウイルスの影響で大打撃を受ける県経済の回復と発展に向けて、期待する声が上がった。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は沖新法の可決に対し「大変意義があり、ありがたい」と感謝した。これまで様々な振興策が実施されてきたが、県民所得の低さや子どもの貧困、デジタル化などの課題が残っているとし「さらに沖縄の課題解決に取り組みたい。強い経済を作るために改正法を十分に活用して経済を回復させ、発展させる方向で動いていきたい」と話した。

 沖振法の改正を巡っては、期限を5年とする案も示され、県や経済界は10年を強く求めた経緯もあった。県商工会連合会の米須義明会長は「10年間が認められたのは、沖縄にとって大変価値がある。沖縄公庫の存続や税制改正も認められた」と評価し、「沖縄振興に政府としても力を入れるという現れだと思う。私たちもそれに応えないといけない。次の10年は、自立した経済を作れるように頑張っていく」と意気込みを新たにした。

 県中小企業家同友会の喜納朝勝代表理事は、今後10年間の沖縄経済について、コロナ禍で積み上がった借金を返済していく中小企業も多く、環境はさらに厳しくなると見込む。「経営者一人一人が真剣に社員の生活を守って沖縄の発展に寄与するという熱い思いを持ってやらないといけない。自立経済を目指していく」と気を引き締めた。
 (中村優希)