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宮古島まもる君が全国デビュー!英語の教科書に登場 「知ってほしい」猛烈に売り込んだ筆者の思い


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
英語教科書「英語コミュニケーションII」に登場した「宮古島まもる君」

 文部科学省が3月29日に検定結果を公表した2023年度からの高校教科書「英語コミュニケーションII」に、県警宮古島署管内に設置されている交通安全を呼び掛けるための警察官型人形「宮古島まもる君」が登場した。「全国の高校生にまもる君を知ってもらいたい」―。宮古島の“守り神”が教科書デビューを果たした背景には、約15年にわたる筆者の「まもる君愛」があった。

 「英語コミュニケーション」は、来年度から新設される科目。教科書は、「聞く」「読む」「話す(やり取り)」「話す(発表)」「書く」の5領域での基礎的な英語能力を養うための授業で用いられる。

 「okinawa 沖縄の魅力」と題された章で、「日本有数のビーチがある宮古島にいる有名人」として「まもる君」が紹介されている。島内に「まもる君」が19体あるとし、小学校や現金自動預け払い機(ATM)など各所で「立ち番」を続ける「まもる君」が「それぞれ重要な役割を担っている」と英文で説明されている。

 発行元の開隆堂出版(東京都文京区)によると、同教科の教科書を、習熟度ごとに上位、中位、下位で3冊出版。このうち中位、下位レベルの2冊に「まもる君」の記述がある。「まもる君」が登場するのは冒頭の章で、教科書のページを開くとすぐに「まもる君」の“勇姿”が学習者の目に飛び込んでくるようになっている。「1学期の最初に楽しいテーマにしようという方針があった」(同社担当者)といい、題材を決める編集会議で、筆者の菅正隆さんから提案があった。

 菅さんによると「まもる君」との出会いは、文科省に勤務していた2007年夏。遠隔授業の導入に向けた現地視察の際、島内さまざまな場所で「立ち番」をする姿を見掛け、衝撃を受けた。

 「一体何だろう、と。調べてみたら、地域のシンボルになっていることが分かり、がぜん興味が湧いた」と菅さん。

 その後も何度も現地に渡り、地元住民らへの聞き取りも重ねた。4年前、教科書執筆の依頼を受けた際、「まもる君を知ってもらうチャンス」と思い立ち、題材として取り上げるよう猛烈に売り込んだ。菅さんは「限られた文量では書き切れないこともあった」と振り返り、「全国の高校生に『まもる君』を知ってほしい」と力を込めた。
 (安里洋輔)