![](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/legacy/002/202204/3fbb70c793c9b849c46f9c786f9e3221.jpg)
高校教科書の検定結果が3月29日、公表された。7冊が合格した高校「日本史探究」で、沖縄師範学校女子部、県立第一高等女学校の教師・生徒らによる「ひめゆり学徒隊」を「学徒看護隊」と記述した教科書があった。「部隊」と称する表現については以前から、「一緒になって戦闘に参加したように誤解される」ことなどを理由に、「看護要員」として表記するよう沖縄戦体験者から是正を求める声が上がっている。
「学徒看護隊」と表記したのは第一学習社の教科書。沖縄戦に関する注釈で、「沖縄県下の学校から男子生徒は『鉄血勤皇隊』『通信隊』として徴集され、女子生徒は『ひめゆり学徒隊』など学徒看護隊として動員された」と記載した。
糸満市のひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長は「女子生徒たちは当然、専門的な知識を持っていなかった。看護隊という表記は実態を正確に表していない」として、表記是正を求めた。来館者の中には「ひめゆり学徒隊」を看護学校の女生徒たちと誤解している人もいるという。
第一学習社に「学徒看護隊」の表記が残る一方で、実教出版の「世界史探求」では検定により表現が修正された。沖縄戦の写真資料の説明で「兵力不足の日本軍は、少年や女子学生を中心とした学徒兵を動員して対応した」と記載があったが、女子学生の状況について「生徒が誤解するおそれのある表現である」と検定意見がつき「力不足の日本軍によって、中等学校などの男女生徒が、少年兵や看護要員として動員された」と修正された。
高嶋伸欣琉大名誉教授(社会教育学)は「部隊として表記するのは誤りだと、これまでにも指摘されてきた。検定で統一した修正がなされないのはずさんな対応だ」と指摘した。 (嘉数陽)