古里の民話、演劇で楽しく伝える ジャスプレッソが児童90人に披露 南城・大里北小


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「ヤーサルマーサル」を上演する演撃戦隊ジャスプレッソの(左から)山内和将さん、仲間千尋さん、津波竜斗さん、井上あすかさん=3月3日、南城市立大里北小学校

 【南城】南城市教育委員会文化課は3月3日、市立大里北小学校で、市大里に伝わる民話などを収めた「大里のちてーばなし」(2月28日刊行)に収録された民話を上演した。県内の演劇グループ「演撃戦隊ジャスプレッソ」が演劇化し、同小5、6年の児童90人の前で披露した。

 「大里のちてーばなし」は、1983年に明治、大正生まれの旧大里村民から話を聞いてまとめたもので、県内外に伝わる昔話や伝説、大里由来の民話など約70話が収められている。

 演劇で紹介したのは「ヤーサルマーサル」「城間ナーカ」「大里(うふざとぅ)ウナー」の3作品。

 演じたのは演撃戦隊ジャスプレッソのリーダー・渡久地雅斗さん(28)と南城市出身の井上あすかさん(27)、津波竜斗さん(27)、仲間千尋さん(28)、山内和将さん(27)の5人。渡久地さんが演出を手掛け、滑稽でユーモアあふれる演劇に仕立てた。

大里のちてーばなし

 「ヤーサルマーサル」はこれまで空腹の経験がない王が、ある日農民の格好をして村を訪ねるが空腹に絶えきれず、農民からもらった食わず嫌いのイモを食べておいしいと喜び、農民に褒美をあげる話。劇では畑仕事をする2人の農民が、目の前の相手が王とは知らずにばかにする場面などがあり、児童からは絶えず笑い声が聞こえた。

 「大里ウナー」は人食いの兄・大里ウナーを妹がムーチー(鬼餅)を使って退治する物語で、ムーチーの由来となっている。劇では笑いとシリアスな場面を織り交ぜながら上演した。同校5年の波照間用祐さん(11)は「ムーチーの話は知っていたけど、他の話は初めてだった。とても面白くて本も読んでみたいと思った」と感想を述べた。

 渡久地さんは「小学生に面白いと思われるような演出にこだわった。演劇を見て地元に伝わる話に少しでも興味を持ってくれたら」と期待した。

 「大里のちてーばなし」はB5版のフルカラーで「あおぞら学童クラブ」の協力の下、大里地域の子どもたちが描いたイラストを表紙にしている。同書は一般販売はされていないが、市内外の図書館などで閲覧できる。
 (金城実倫)