生きやすさ、自ら工夫 発達障がいシンポ 当事者がエピソード語る


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「発達のでこぼこ」について、シンポジウムで明るく前向きに話し合った参加者=2日、西原町与那城の中央公民館

 【西原】4月2日の世界自閉症啓発デーや発達障がい啓発週間(2~8日)に伴うシンポジウム(同啓発デー南部圏域実行委員会主催)が2日、西原町与那城の町中央公民館で開かれた。「みんなちがってみんないい」をテーマに「発達のでこぼこ」のある当事者らが自身のエピソードや、生きやすくするための工夫や環境づくりについて語った。

 ひきこもりや不登校、障がい者支援に取り組むNPO法人代表の平良和之さん(44)は「学生のころからこだわりがあり、人との関わりが苦手だった」と振り返った。感覚過敏があり集団行動も苦手と明かし、自分が落ち着く工夫として「スペースの確保」を大切にしていると語った。

 保育園園長を務める川武啓介さん(44)は多動傾向があり、勉強嫌いで集団になじめなかった経験について述べた。その上で、自分の特性を理解し強みを生かすために、仕事では「得意、不得意を分け同僚らと調整」し、子育てでは「指示、命令、制止」ではなく、「対話」の重要性を強調した。

 家族の発達障がいについて明るくまとめた「うちの火星人」の著者で知られるコピーライターの平岡禎之(62)さんと、妻でフリースクール教師のワッシーナさん(58)は夫妻で登壇した。ワッシーナさんはかつて、頼まれた仕事を断れない日々が続いたとして、依頼された際に「考えさせてください」「スケジュールを確認します」の二つが言えるようになり「とても楽になった」と自身の工夫について話した。

 平岡さんは「苦手がいっぱいあっても、自分は大丈夫、と自分で自分を励ます練習が大事だ」と語った。

 南部圏域実行委員会の同様のイベントは2019年の初開催以来、コロナ禍での2年連続の中止を経て、今回3年ぶりの開催となった。

(照屋大哲)