【北谷】嘉手納基地第18航空団による夜間の海上での訓練実施は、近くで漁をしていた漁師がその様子を目撃していた。漁場での訓練実施は、危険と隣り合わせの生活に県民がさらされていることを改めて浮き彫りにした。
低空飛行する米軍機のプロペラ音が辺り一面に鳴り響き、機体から赤い光を放つ物体が落下していく様子が見えた。「危ないな…」。近くではえ縄漁をしていた漁師らは危険を感じた。近隣自治体への事前通告もない上に、提供区域外の海域での米軍訓練が北谷町の砂辺海岸沖で実施された3月30日午後9時ごろ、米軍が「当該区域で安全確認をした」という場所から船で数十秒で行ける先には漁師の姿があった。
嘉手納基地の滑走路にある砂辺の誘導灯から西に1~1・5キロ離れた所で、この日も普段のように漁をしていたという北谷町漁協の新崎盛朗さん(37)。近くを飛んでいた米軍ヘリから何かが落下した。その物体を照らすようにヘリがホバリングを続ける様子が気になった。「ものすごい身の危険を感じたわけではないが、すぐ近くだったので危ないなと感じた」と振り返る。
その後、米兵が乗った船がやってきて、様子をうかがっていた新崎さんらに対し「ピックアップする」「ソーリー」などと発言していたという。
米軍による訓練が実施された砂辺海岸沖は北谷漁業組合の漁場として利用されている。北谷町の渡久地政志町長は「町民に危険がおよぶ可能性があった場所だ。訓練といえど、しっかりと通知をすべきだ」と語気を強めた。
県内では3月22日に名護市の名護湾で、日米地位協定で米国に使用が許可されている提供区域外で米軍機のつり下げ訓練があったばかり。名護市に事前通告はなかった。
(新垣若菜)
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