船用ロープを1年がかりで「布」に 沖縄戦後の織物を再現 南風原文化センターと芸大生ら協力


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完成した布を手にする県立芸術大研究生の堀北治希さん(右)と平良次子館長=3月26日、南風原町喜屋武の南風原文化センター

 【南風原】沖縄戦後の物のない時代に作られた織物を再現しようと、南風原文化センター(平良次子館長)でこのほど、約5メートルの船舶用ロープをほどいて糸にし、織った約3メートルの布が完成した。

 同センターは昨年4~5月、戦後の南風原の織物産業の軌跡をたどる企画展を実施した。県立芸術大研究生の堀北治希さん(22)や観覧者らの協力を得て約1年かけて布が織り上がった。ロープから糸を取り出し、機にかけるのも大変だったが、織るにも一苦労した。使い古された船舶用ロープから取り出した糸はけば立って他の糸に絡まる上、切れやすかった。

 堀北さんは「織っている時間よりも(切れた)縦糸を結ぶのに時間がかかった」と振り返った。

 展示期間中、観覧者からは道具の使い方や糸のほどき方について助言を受けた。平良館長は「風合いは当時と違うが、船舶用ロープをほどいて織るという追体験ができてよかった」と話した。

(比嘉璃子)