粟国、渡名喜の小中学校で給食停止 栄養士が異動、後任確保できず


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 粟国、渡名喜両村の小中学校で栄養士が未配置となり、学校給食が提供できない状態となっていることが7日、県教育委員会などへの取材で分かった。栄養士が3月末で人事異動となり、後任を確保できなかったのが要因だ。県教委はハローワークでの求人掲載や関係者を通した紹介など人材確保を急いでいるが、7日時点で給食開始のめどは立っていない。

 7日から学校が始まった粟国村では同日夕、保護者説明会を開催した。保護者から説明会の開催が遅いことに対する批判が出たほか、本島にいる栄養士にオンラインで指導してもらえないかなどの意見があったという。

 給食がない期間の対応については、弁当持参か自宅での昼食のいずれかで対応する予定で、保護者から早急に意見を集約する考え。栄養士不在を受けて同村の高良修一村長らは6日に県庁を訪れ、半嶺満県教育長に対し早期の栄養士派遣などを要請した。

 渡名喜村では小中学校の児童生徒23人に給食提供ができない状態だ。6日に保護者説明会を実施し、弁当持参か家に帰って昼食を取るかの対応を求めた。保護者からは「理解をいただいた」と説明した。

 渡名喜村は学校給食を無償としており、家庭で提供するとなれば保護者負担が増えることにもなる。同村の保護者は取材に「昼食をつくるために戻るのも手間だ。給食がないのなら食材を配給してほしい」と訴えた。

 国の学校給食衛生管理基準は、衛生管理責任者として栄養士などを調理場に配置するよう求めている。栄養士がいない場合は調理師資格がある人を指定できるが、両村では有資格者が確認できていないという。

 県教育庁学校人事課によると離島・へき地の学校の場合、栄養士の任用期間は通常2~3年。担当者は「これまで離島への栄養士未配置はなかったが、栄養士は学校だけでなく病院などでも任用される。必ずしも学校だけが就職先にはなっていない現状もある」と人材確保の難しさを語った。
 (知念征尚、吉田健一、吉田早希)