「地方自治を無視」「地域振興の実現求める」 辺野古設計変更不承認の取り消しに市民は


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辺野古新基地建設が進む大浦湾。左奥のK8と呼ばれる護岸では延長工事も始まっている=8日、名護市

 【辺野古問題取材班】名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局による設計変更承認申請を不承認とした県の処分を、国土交通相が取り消した8日、新基地建設に反対する市民は「地方自治を無視している」などと反発した。基地建設を巡る県と国の長引く攻防に、地元住民からは「見守るしかない」と受け止める声もあった。

 米軍キャンプ・シュワブのゲートには8日も工事関係車両が入り、市民約15人が抗議した。不承認取り消しの報道を受け、市民らは「国の横暴を許すな」と声を上げた。ゲート前で歌手の知念良吉さん、まよなかしんやさんらが「命どぅ宝フォークコンサート」を開き、反戦平和のメッセージを込めた歌を熱唱した。

 コンサートに参加した宮城千恵さん(63)は「工事を進めれば多くのサンゴが死んでしまう。国の決定が理解できない」と語気を強めた。抗議活動に参加した辺野古区在住の金城武政さん(65)は「政府は何が何でも工事を進める気だ。地方自治の決定が消され、権限がどんどん奪われていく」と訴えた。

 辺野古区の古波蔵太区長は「(政府の決定に)コメントする立場にない」とした上で、「実際に工事は進んでいる」と指摘した。区は条件付き容認の立場で、これまで繰り返し国に個別補償や地域振興策などを要請してきた。古波蔵区長は「まだ実現できていないものが多い。区としては、要請している地域振興策などの早期実現を求めていくだけだ」と述べた。

(長嶺晃太朗)