ミカンコミバエ急増 21年度は根絶後、捕獲最多に


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県内で捕獲数が急増しているミカンコミバエ(県提供)

 1986年に県内全域で根絶された特殊病害虫のミカンコミバエの発見事例が、近年急増している。2021年度は大東諸島を除く県内全域で、根絶後最多となる341匹が捕獲された。現時点で定着はしていないものの、今後県内で広がる可能性もあるとして、県は農家だけでなく家庭菜園をしている一般世帯にも防除対策を徹底するよう注意喚起している。

 ミカンコミバエは果実の中に卵を産みつける。寄生するのはマンゴーやかんきつ類、アセロラなど幅広く、定着してまん延化すると植物防疫法に基づく緊急防除として県外に果実類を出荷できなくなる可能性もある。

 県の担当者によると、急増の原因は特定できていないが、台湾や東南アジアなどの発生地域から風に乗って飛来したり、海外から寄生果実が持ち込まれたりしたと推察される。防除対策として、産卵場所をつくらせないため庭先の落下果実を放置せず速やかに処分することや露地栽培では果実に袋がけすることが有効だとしている。また、ビニールハウスやネットに破損がある場合は修理するよう呼び掛けている。

 県の担当者は「放置園や集落の庭先で寄生が多いため、地域で協力して防除に取り組む必要がある」と指摘。特に5月~11月は繁殖が活発になるので注意が必要だと訴えた。  (当銘千絵)