花を手に性暴力撲滅を訴える「フラワーデモ」が11日、初開催から3年を迎えた。性犯罪に対する無罪判決が相次いだことをきっかけに、2019年に東京と大阪で始まり、その後、1年間で47都道府県に拡大した。
毎月11日前後に各地で行われ、被害者に寄り添う気持ちを表す花を持ち寄り、性暴力被害を語る場になっている。新型コロナウイルスの流行後も、静かに立つ「サイレントスタンディング」形式やオンラインで続けられてきた。
この日、熊本市の繁華街であったフラワーデモには男女約10人が集まり「性暴力を許さない」「性犯罪の不当な無罪判決に抗議します」と書かれたプラカードなどを掲げた。主催者の女性(55)は「社会が変わってきているのを実感する」と3年間を振り返った。
「あなたは悪くない」 連帯 被害者の希望に
心の中に長い間閉じ込めていた性被害が明かされると、拍手や肩に置かれた手が「あなたは悪くない」と包み込む―。3年前に始まったフラワーデモは今、性暴力被害者の希望だ。参加者らは「性暴力がなくなる日まで続いてほしい」と話す。
「被害者に対し『独りじゃない』、性被害を語ってもいいんだというメッセージになった」。2019年8月から沖縄県でフラワーデモを開く上野さやかさん(42)が、意義を語る。これまでのデモには、中学生の頃の被害を初めて語った70代の女性や、教師からの性暴力で娘が自死した母親が参加した。
米軍基地の兵士による性暴力を訴えてきた高里鈴代さん(81)も主催者の一人。「デモの存在自体に励まされる」という声を力にしてきた。一方で「被害者を取り巻く環境はまだまだ厳しい」と指摘。自身に落ち度があるかのように捜査機関から責められ、支援機関にアクセスしづらい状況は変わっていない。
東京や横浜で10回ほど参加した30代の女性にとって、デモは「性暴力に怒ってもいいと思わせてくれる場所だ」。
初めて参加したのは2年前の冬。鍼灸(しんきゅう)院の男性施術師から無断で下着を外された被害を語った。参加者は聞き入り、主催者は助言をくれた。対照的に交流サイト(SNS)で被害を明かした際は、被害を軽んじられ賠償金目当てとやゆされた。「訴えに耳を傾ける社会に変わってほしい」と願う。
(共同通信)