【東京】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設を巡り、埋め立て工事の設計変更を不承認とした沖縄県の行政処分を取り消す裁決を行った斉藤鉄夫国土交通相は12日午前の閣議後会見で「今回の裁決および勧告の趣旨を踏まえ、沖縄県に適切に対応いただきたい」と述べ、県が沖縄防衛局の設計変更を承認するよう求めた。
岸信夫防衛相も同日の閣議後会見で、裁決を受けた今後の防衛省の対応について「普天間飛行場の一日も早い返還を実現すべく工事を着実に進めていきたい」とした。一方、普天間返還の日米合意から12日で26年が経過する中で、返還が進展していない現状についても記者団から質問があったが、岸氏は「辺野古移設が唯一の手段だ」とし、従来の政府方針通りに工事を進める考えを示した。
8日の国交相裁決について関係閣僚が直接言及するのは初めて。
会見で斉藤氏は、裁決の理由について「地盤改良工事や護岸などの安定性が適切に検討されており、適切な環境保全措置が行われている」などと説明。「沖縄県の判断は違法かつ不当であると判断し、不承認処分を取り消すとの裁決を行った」と述べた。
岸氏は、米軍キャンプ・シュワブ沿岸で進めている移設工事の進捗について、3月末までに203万立方メートルの土砂を埋め立て区域に投入したことも明らかにした。
土砂は、工事完了までに使用する予定量の約10%にとどまる。
(安里洋輔)