政府が3月から、観光目的を除く外国人の受け入れ制限を緩和したことを受けて、沖縄県内では留学生の受け入れが再開している。留学を待ちわびた外国人学生からは喜びの声が上がる。一方、外国からの直行便が運航できるのは国が認めた5空港のみ。沖縄にたどり着くまで留学生は複数の空港を経由する必要があり、受け入れに時間がかかっている。
ゴレスアカデミー日本文化経済学院(那覇市)に入学するネパール人13人が6日、成田空港を経由して那覇空港に到着した。沖縄への留学を2年間待ち、5日に到着したティム・シナ・サロズさん(27)=ネパール=は「沖縄に来られてとてもうれしい。日本の文化などを勉強したい」と意気込んだ。
同学院は5、6月ごろまでに約200人のネパール人留学生を受け入れる予定だ。4月下旬には2年越しの入学式を開催するが、学生の沖縄到着に時間がかかっており全員参加は難しい。12日に沖縄に到着した留学生は、カトマンズからシンガポール、バンコク、成田を経由したという。
現在、国際線が運航できるのは成田、羽田、中部、関西、福岡の5空港。全国各地で留学生の受け入れが再開しているため飛行機のチケットが取りづらい状況だ。
県内の日本語学校が加盟する県日本語学校懇話会によると、沖縄への留学生は9割がネパール人で、約千人が沖縄行きを待機している。この2年間で約5%が沖縄留学を断念した。
コロナ禍でも学生をスムーズに受け入れるため、同懇話会は2020年9月から、国や県に沖縄への留学生用のチャーター便運航を要請してきたが、実現に至っていない。国によると、各地方空港の検疫所のスタッフを5空港に集中させていることなどから、対応が難しいという。
経由地間の旅費は学生の負担となる。感染状況次第で再び入国が制限される懸念もあるため、同懇話会は引き続きチャーター便の運航を求めている。同懇話会代表の仲田俊一氏は「学生が来られるのはうれしい。ただ細かい対策が配慮されておらず現場は大変だ。沖縄は離島という特殊事情があるのでチャーター便を飛ばしてほしい」と願った。
(中村優希)