優勝の沖水、強力打線と巧みな継投で九州へ 春季高校野球総評


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25年ぶり10度目の頂点に輝き、ダイヤモンドを回る沖縄水産の選手たち=9日、アグレスタジアム北谷(喜瀨守昭撮影)

 第69回県高校野球春季大会(県高野連主催、琉球新報社共催)は3月20日から4月9日まで、北谷町のアグレスタジアム北谷などで行われ、沖縄水産が25年ぶり10度目の優勝を果たした。故・栽弘義監督が率いた1997年以来の春季王者となった。沖水は第150回九州地区大会(23~28日、宮崎県)の出場権を得た。同大会の抽選会は14日に宮崎市で行う。九州大会開幕を前に今大会を振り返る。

 ■圧倒的な攻撃力

 シードの沖水は今大会のチーム打率が3割8分7厘(全5試合)と、圧倒的な攻撃力で勝ち上がった。チームトップの打率7割を誇るリードオフマン、川端南海斗主将が打線を引っ張った。甘い球を振り抜くことを徹底し、下位打線にも高打率の選手がそろう。

 1試合平均の四死球は9.6、出塁率は5割1分4厘。これに犠打や盗塁など機動力を生かし得点を重ねた。一方で残塁が8.8と多い。好機を確実に得点につなげる回数が増えれば、九州大会でも上位を狙えそうだ。

 苦手としていた守備は昨年の秋季大会後、基本から見直して鍛えた。失策は1試合平均1.8で、上原忠監督は「秋よりよくなっている」と手応えを語る。投手陣は新型コロナウイルスの影響で満足のいく準備ができず継投を基本とする。決勝で投げた上原昂也や平田李維のほか、比嘉晟那らが緩急をつけて相手打線に的を絞らせずしのいだ。

 ■コロナの影響

 ノーシードの沖尚はエース吉山太陽を中心に、投手陣が準決勝まで5試合で失点1と安定感があった。吉山は準決勝でノーヒットノーランを達成するなど、今後の活躍に期待感を持たせた。決勝ではその他の投手が崩れたことから、夏に向けて吉山以外も力を伸ばすことが求められる。

 4強入りした前原は投手陣の継投と勢いのある打線で地力を見せた。宮古は、182センチの右腕エース沖勇作が投打で頼もしかった。久米島・南部商が連合チームとして初めて8強進出を果たす活躍もあった。

 新型コロナは今大会でも大きな影響を及ぼした。昨年の秋季大会覇者でシード校の興南と、昨年春の九州大会王者の具志川商は、新型コロナ陽性者が確認され今大会を辞退した。各チームとも練習が十分にできないまま試合に臨んだ。夏の全国選手権沖縄大会は6月18日の開幕を予定する。各チームのさらなる成長に注目したい。
 (金良孝矢)