【東京】首相の諮問機関である沖縄振興審議会(会長・高橋進日本総合研究所名誉理事長)は13日、内閣府が示した今後10年間の沖縄振興の方向性を位置付ける「沖縄振興基本方針」の最終案を了承した。関係省庁との協議を経て岸田文雄首相が5月中旬までに決定する見込みだ。同方針を踏まえ、県は新たな沖縄振興計画を正式決定する。第5次振計の基本方針にあった「沖縄の自主性を最大限に尊重」との文言が削除され、「5年以内の検討・見直し」を新たに規定した。
審議会にオンラインで参加した玉城デニー知事は同日、本紙取材に「自主性」についての文言削除について「大きな影響はない」として問題視しない考えを示した。
最終案では、2012年の基本方針で明記されていた「沖縄の自主性を最大限に尊重」との文言がなくなった一方で、県に「市町村の主体性を尊重」するよう求めた。
国や県、市町村、民間事業者など「多様な主体の連携・協働を積極的に進める必要がある」とした。県が使途を決められる一括交付金制度についての記述もあるが、「必要に応じて国が直轄事業や個別の補助事業を実施」とも明記され、国の関与を強める政府の意向をにじませた。
4月から施行の改正沖縄振興特別措置法にも明記された「5年以内の検討・見直し」についても触れた。国の方針として「沖縄を取り巻く環境変化に迅速に対応することの重要性に留意しつつ、適時適切な見直しを行う」とした。
改正沖振法の内容も踏まえ、「子どもの貧困対策」などの重点政策や、「エビデンスに基づく施策の展開・検証」も促し、鉄軌道を含む公共交通機関の整備についても検討を進める方針を初めて明記した。西銘恒三郎沖縄担当相は「今後の沖縄振興を効果的に進めていくために必要な内容を多岐にわたり盛り込むことができた」と述べた。
(安里洋輔)