出荷量減り続ける泡盛…リキュールは回復、海外向けも増 ブランディングに課題


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 県酒造組合(佐久本学会長)は13日、2021年の琉球泡盛(アルコール度数30度換算)の総出荷量が前年比8.5%減の1万2648キロリットルだったと発表した。過去最高を記録した04年以降、17年連続の減少となった。同組合は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う飲食店の時短.休業や観光土産品需要の減少が大きく影響したと分析している。

 出荷先別では県内が前年比9.4%減の1万63キロリットル。県外が同5.4%減の2530キロリットル。海外は同52.3%増の54キロリットルで、過去最高の輸出数量になった。

 国の輸出重点品目に「本格焼酎.泡盛」が指定され、中国、アメリカ、台湾などそれぞれの国のニーズや規制に対応するための国や県の支援が得られたことや、「琉球泡盛海外輸出プロジェクト」の販路拡大も輸出を後押しした。

 コーヒー泡盛や梅酒など泡盛メーカーが製造する「リキュール」の出荷量は前年比22.7%増の464キロリットルで、過去最高だった18年に次ぐ数量に回復した。国内出荷は同22.7%増の341キロリットル。海外出荷は同20.%増の123キロリットルだった。

 出荷量減少に歯止めがかからない一方で、酒税軽減の特例措置は24年から段階的縮減を経て32年5月に廃止される。新垣真一専務理事は「若者に合った飲み方を提案し、琉球泡盛のブランディングに努める。県外、海外への販路拡大を図り、10年間で体力を付けたい」とした。

 泡盛製造業者は1社が休業し44社となった。20年度の経営状況は44社のうち13社が黒字。営業利益が1億円を超えた酒造所はゼロで、31社は赤字だった。

 44社の営業損益の合計は2億9千万円の赤字となった。営業利益が減少した酒造所は感染症で飲食店からの受注が急減したことや、販管費の増加、売り上げ構成比が付加価値の高い古酒から巣ごもり.家飲み用の一般酒にシフトしたことが要因とみている。
 (玉城江梨子)