競り見学スペースも 県の水産市場、高度衛生管理型の施設完成 10月から供用開始、糸満


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江
3月末に完成した高度衛生管理型荷さばき施設=14日、糸満市西崎町

 老朽化した泊魚市場=那覇市=の移転に伴い、糸満漁港内に県主体で建設した高度衛生管理型荷さばき施設が完成し、14日、報道陣向けに公開された。外部からの粉じんやウイルスの混入、害獣の侵入を防ぐ閉鎖式の市場で、入場する際には必ず洗浄スペースを通過する構造にするなど、徹底した衛生管理体制を敷いた県内唯一の水産市場となる。10月から供用開始される。

 施設は鉄骨造り2階建てで、敷地面積は2万4600平方メートル。3月末に完成した。主に県漁業協同組合連合会(県漁連)、糸満漁協、県水産公社が使用する。第3種漁港のため、県外の漁船も水揚げが可能で、年間水揚げ量は5500トンを目指す。
 
 日曜と祝日を除いて、ほぼ毎日午前5時から行われる競りが自由に見られるよう見学スペースを設けた。市民にも沖縄の水産業を身近に感じてもらう。各種学習会などができる研修室も備えた。
 
 県漁連の亀谷幸夫専務理事は、今まで以上に安心安全な魚を消費者に提供していくことが新施設設置の目的だと説明。「県魚の価値が上がれば生産者の所得向上につながり、県全体の振興にも寄与できると確信している」と意気込んだ。
 
 県漁連が同施設と併設して建設する1次加工処理施設は、新型コロナウイルス感染症の影響で資材調達などに遅れが生じたため、開設は当初予定の10月から12月にずれ込む。

(当銘千絵)