識者談話 選択的夫婦別姓、正確な知識で判断を 村上尚子弁護士


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村上尚子弁護士

 選択的夫婦別姓については、1996年に法制審議会が別姓を認める民法改正案を答申した。本来ならもっと早く立法化されていいはずなのに、一部議員の強い反対により、いまだに実現できていない。そうした状況の中、全国各地で当事者たちが声を上げ、法制化を求めて地方議会に陳情する動きが広がっている。島しょ県で、家族のつながりが強い沖縄で、3月に2市村議会が全会一致で意見書を可決したのは、全国的にも大きな意義がある。

 希望した人たちが別姓での結婚を選択できるように法律を改正したとしても、新たな法的問題が生じるわけではない。相続の仕組みに変更はないし、戸籍制度の崩壊にもつながらない。理解すれば、法的に反対する理由は何もない。

 別姓が認められていないために婚姻届を出せず、事実婚をしている人たちは一定数いる。事実婚では婚姻のメリットが受けられず、相続など不都合が起きている。改姓は望んでいなかったものの結婚し、旧姓と戸籍姓二つの姓の使い分けに苦労している女性は少なくない。結論が出ていない県、17市町村議会の議員の方々には正確な知識を得て、その上で判断するよう望む。 (談)