米軍属の元夫から養育費徴収 沖縄県内の女性、米国の制度を利用 識者「画期的な事例」


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 沖縄本島在住の女性が3月、米国の「養育費回収システム」を利用して、子どもの養育費の支払いに応じない県内在住の米軍属の元夫の給与を差し押さえ、子どもが20歳になるまで、月額数万円の養育費を強制徴収することが18日までに、支援団体への取材で分かった。日米地位協定で給与の差し押さえが認められていない米軍関係者から養育費を強制徴収するのは異例。特に軍の指揮系統に属さない民間人の軍属から回収するのは困難視されていた。識者は「画期的な事例」と評価した。 

 同システムは別居中の親の居場所を突き止め、法的な親子関係を確定し、養育費を回収する仕組み。ただ相手方が米本国にいないと利用できない。女性は日本の家庭裁判所が支払いを命じる書面を得た上で、国際家事相談支援「ウーマンズプライド」(北谷町)のスミス美咲代表の協力を得た。

 スミス代表によると、米兵の場合は、女性側が家庭裁判所の調停や審判で作成した書面などを所属部隊の上司に送付すると、上司からの命令により支払いに応じるケースが多い。

 だが軍属の場合は、所属する米本国の民間企業の上司に連絡しても全てのケースで黙殺されてきた。

 スミス代表は嘉手納基地内にある元夫の私書箱の住所が米カリフォルニア州となっていることに目をつけ、同州裁判所に養育費支払いを申し立て、強制徴収の決定を得た。

 女性は「裁判をするのは正直つらかったが、子どもの将来のために後悔はしたくない気持ちでやりきった。最後まで諦めなくて良かった」と話した。 (梅田正覚)


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