名門大学に合格、夢へ一歩 珠算教室で学んだ2人、培った集中力発揮


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名門大学への合格を果たして喜ぶ末吉南詩さん(右)と嘉陽司英菜さん=3月19日、うるま市赤道のぐしかわ珠算教室

 【うるま】沖縄クリスチャンスクールインターナショナル出身の末吉南詩(なんし)さん(17)と沖縄尚学高出身の嘉陽司英菜(じぇな)さん(18)がこのほど、それぞれ国内外の名門大学に合格した。末吉さんは仏パリ政治学院ル・アーブル校、嘉陽さんは東京医科歯科大歯学部に進学した。2人は幼少期から、ぐしかわ珠算教室(うるま市赤道)でそろばんに打ち込み、切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲だ。新たな進路が決まり、期待に胸を膨らませている。

 末吉さんは元々、国内の大学で法律を学ぼうと考えていたが、途中で政治学へ方向転換した。国際関係論や安全保障を研究するには海外大学のほうが望ましいと思い直し、受験を決意した。昨年11月、欧米の大学を受ける際に必要な適性試験「SAT」の成績や、今まで取り組んできた活動などを記載する「エッセー」を提出。2月にオンライン上で英語での面接を受け、合格を果たした。

 同大学について「ヨーロッパだけでなくアジアやアフリカからも学生が集まり、議論が活発なところだ」と声を弾ませる。入学は今年8月。将来の夢はまだ決まっていないが「大学で学びながら考えたい」と話す。

 嘉陽さんは、入れ歯や歯の詰め物などの作製や加工をする「歯科技工士」になるため、東京医科歯科大を受験。昨年11月に推薦入試を受け、同12月に合格した。面接では、そろばんを通して培った継続力や集中力などをアピールした。高1で出場した「英語読み上げ算競技全国大会」で優勝した実績を話し、面接官の好感触が得られたという。

 沖縄は全国的に虫歯のある児童が多い傾向があるとし、将来は「この問題を解決できるよう貢献したい」と意欲を示す。

 末吉さんと嘉陽さんは、珠算と暗算で最高位の10段を持っている。ぐしかわ珠算教室の瑞慶覧愛塾長は「厳しい練習を積み重ねてきた2人は、1日8時間の受験勉強をしても苦ではなかったようだ。大学に進んでもこれまで以上に頑張ってほしい」と教え子をたたえた。 (砂川博範)