基地問題への対応どうする? 負担軽減策で違い鮮明<沖縄市長選・立候補者の政策比較>下


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 24日投開票の沖縄市長選では、新人で前市議の森山政和氏(73)と現職の桑江朝千夫氏(66)はいずれも米軍基地問題への対応を掲げている。沖縄市は米軍嘉手納基地から派生する騒音など重い基地負担を背負ってきた。一方で、米軍牧港補給地区の倉庫群が米軍嘉手納弾薬庫知花地区に移転する計画もあり、基地負担軽減策が求められている。

 倉庫群移設計画は両者で立場の違いが鮮明だ。

 森山氏は「農地として返還されるべき土地で、基地強化につながる施設は認められない」と移設に反対の立場だ。「推移を注意深く見守る」とし、市民生活への影響を注視する姿勢を示す。

 桑江氏は1期目の2016年に移設受け入れを表明。利水や環境などへの影響について「移設協議会等を活用し、国や県などと緊密に連携を図りながら諸問題の解決に取り組む」と対応を示す。

 日米地位協定は両者とも改定を求める立場だが、その内容に違いがみられる。

 森山氏は「国内法が適用されない治外法権の状態を生じさせている」と指摘。改定することで、基地の管理権を取り戻す必要があるとし、ドイツやイタリアのように自国の法律を基地内に適用し、責任の所在を明確にするよう訴える。

 桑江氏は日米地位協定の環境補足協定に触れ、「排水などの調査が必要になっても住民への十分な説明は難しい」とし改定の必要性を示す。米軍関係の事件事故における通報体制の改善や環境汚染の調査も積極的に協力してもらう姿勢だ。

 嘉手納基地の軍民共用案や騒音対策についても両者で施策は異なる。

 森山氏は嘉手納基地の軍民共用案について「日米間で協議された事実を確認していない」とし、立場を語る前提を持たないとする。騒音対策は軍用機の飛行ルートや時間帯など、運用規定や外来機の機数制限などを盛り込んだ基地使用協定を求める姿勢だ。

 桑江氏は軍民共用案について「観光誘客・物流拠点としての空港港湾機能は、中部圏域の発展や市活性化に重要」との立場を示す。騒音対策については、三連協(沖縄市、嘉手納町、北谷町)で連携して外来機の飛来抑制や住宅防音工事の拡充を国に求める姿勢だ。
 (’22沖縄市長選取材班)