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調査のクロスで動向把握 ニーズ発掘や支援強化のヒントに<けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 このところ企業を取り巻く環境は、ヒト・モノの往来等を含めて持ち直しの兆しがみられたものの、足下で資源価格等の高止まりが継続するなど、逆風が吹き始めています。

 企業動向については、おきぎん企業動向調査による景況感の把握に加え、定例的なテーマや旬なトピックスを盛り込んだスポット調査を実施しています。直近のテーマとして2021年7~9月期に「IT化に向けた取組」、10~12月期に「人材確保の取組」、22年1~3月に「賃金動向に関する取組」等があり、双方を横断して集計することで新たな視点での企業動向が整理できます。

 例えば「IT化の取組×業況感」でクロスさせると、産業全体の業況DIがマイナス8・5に対し、IT化への意識・関心の高い企業群(ITを活用した業務効率化・生産性向上に取り組む)ではDIがプラス1・9を示しています。また「人材確保」では全体がプラス22・9に対し、人材不足する企業群(事業に必要な人材が不足)がプラス37・6、「賃金動向」では全体がプラス1・6に対し、賃金引き上げを予定する企業群でプラス31・6となっています。

 総じて、厳しい環境下でも経済活動を活発化させる企業群の存在と相対的な業況感の良さがみられます。今回は試行的にデータを横断させたため双方の因果関係等を含む詳細な結論に至っていませんが、今後は企業行動を個別に深掘りしながら他の情報等も掛け合わせることで、企業ニーズの発掘や支援強化に向けたヒントが得られるはずです。

(おきぎん経済研究所 當銘栄一)