ジュゴン保全は「生息域内」で方針 踏み込んだ対策への明言避ける 環境省


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3頭でゆっくりと泳ぐジュゴン=1998年10月、名護市嘉陽沖約1.5キロ

 【東京】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設による生態への影響が懸念されているジュゴンについて、環境省は22日、本来の生息地での保全を目指す「生息域内保全」を進める方針を示した。ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC、海勢頭豊代表)との国会内での交渉で明らかにした。

 沖縄のジュゴンについては、辺野古新基地建設で防衛省に環境対策を助言する有識者会議の一部の委員が、英科学誌に「2019年に絶滅した」とする論文を投稿。環境省の最新調査結果や、国際自然保護連合(IUCN)の評価と食い違う内容だとの指摘を受け、「絶滅に近い」などの表現に改めていた。

 SDCCの吉川秀樹さんはこうした経緯を踏まえ、防衛省と環境省にジュゴンの生息の現状について認識をただした。両省の担当者は「絶滅したものとは考えていない」とし、論文の内容について問題視しない姿勢を示した。

 環境省の担当者は、外来ジュゴンによって生態系の維持を図る「生息域外保全」を検討する考えがあるかを問われ、「原則として生息域内保全を進める」とした。漁業の巻き添えになる「混獲」の対策などに取り組んでいるとも明らかにした。

 吉川さんから「保護区を設置すべきだ」との意見が上がったが、より踏み込んだ対策については明言を避けた。

(安里洋輔)