【記者解説】沖縄の教員不足、その理由と解決策は?


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 4月、各学校で新学期がスタートしたが、県内では学級担任が28人不足し、理科など専門科目の担当教師を合わせると64人が未配置だった(13日時点)。教員免許を持ちながらも教員採用試験に合格していない人を臨時採用して補ってきたが、それも追い付かない。近年、県内外で教員志願者の減少が指摘されているが、県内の大学を取材すると「高校生にはまだ人気」という側面が見えた。大学教員らが懸念しているのは、働き方改革が進まない教育現場で思い知る「理想と現実のギャップ」による離職や休職だ。

 県内では本年度、28人の学級担任が未配置のまま新学期がスタートした。学校生活を送る上で最も身近な大人の不在は、子どもや保護者の不安を大きくする。また理科や音楽など専門科目教師の不在は、学びの質の保障を困難にする。

 教員不足解決に向けて希望が持てるのは、琉球大学をはじめ、教員志願者が多く集まる県内複数の大学が「高校生段階で教員志願者が激減しているとは考えていない」と判断していることだ。琉球大は、教職員の働き方改革の促進と同時に「学校教員のやりがい、魅力を発信していくことが重要」と取材に答えた。報道やSNSなどでも過酷な労働環境などを指摘する声が多く上がるが、本来は魅力的な職業であり、やはり解決の糸口は早期の働き方改革にある。

 県教委は以前から、教師不足の背景に長時間労働など働く環境の改善が進んでいないことを認識している。昨年3月には「教職員働き方改革推進プラン」を改定した。「部活動改革は働き方改革の1丁目1番地」として、部活動の在り方の見直しにも取り組んでいる。国や行政の責任は重い。教職員が実感できる負担軽減が急がれる。

(嘉数陽)