1944年8月22日に疎開者を乗せた対馬丸が撃沈された事件を次世代に引き継ごうと、遺族らで構成する対馬丸記念会(高良政勝理事長)が、那覇市立垣花小学校に記念碑を設置する計画を進めている。碑の設置は読谷村立古堅小に続く2校目で、犠牲者の多かった那覇市では初めてとなる。同会などは設置を通じて子どもたちに平和への思いを託したい考えだ。
対馬丸は44年8月、米潜水艦から魚雷攻撃を受け鹿児島県悪石島沖で撃沈し、判明しているだけでも学童784人が犠牲となった。そのほとんどは現在の那覇市内の出身であることから、市内での記念碑設置の機運が高まっていたという。
特に垣花小の前身となる垣花国民学校は最多101人の犠牲が出ており、同小の協力を得て設置が決まり、昨年から計画が進められていた。
記念碑は対馬丸をモチーフに制作し、犠牲者の氏名も刻印する。
沖縄戦の組織的戦闘が終結した6月23日の「慰霊の日」までの設置を目指す。
今後は市内の他の小学校にも協力を呼び掛け、記念碑を増やすことも検討している。
高良理事長は「慰霊碑となると犠牲者を追悼する性質が強くなるので、記念碑として設置したかった」と説明する。「実質的には犠牲者を弔うものだが、学校に通う子どもたちには、亡くなった先輩からの未来に向けた平和のメッセージだととらえてほしい」と話した。
(小波津智也)