「日本一にしてほしい」徳之島から沖縄へ移籍 島つなぐ情熱で目指す初のタイトル 源河信繁さん・薫さん<闘牛語やびら 復帰50年記念大会・全島大会>


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5月8日開催の全島闘牛大会に出場する源幸龍と源河薫さん=4月17日、うるま市

 全島闘牛大会のシーの三番は、沖縄王者と徳之島王者の対決という事実上の軽量級日本一決定戦とあって、注目度が高い。沖縄王者に挑戦する源幸龍(元幸龍皇)は、徳之島の王座を返上して沖縄にやって来た。「日本一にしてほしい」。願いは徳之島の元主から牛主の源河信繁さん(74)に託された。源河さんは親子3代で牛舎を構えるが、タイトル獲得はいまだない。悲願の全島一へ向けて準備を怠らない。

 源幸龍はこれまで15勝1敗1分けと圧倒的な強さを誇り、3戦目から負けがない。3月の沖縄デビュー戦は2分36秒でシルバーに快勝した。育ての親は徳之島王者を多く輩出し、その業界で知らない人はいないという伊藤勇太さん(39)だ。源河さんと伊藤さんは家族ぐるみで長年、交流を温めてきた。「沖縄でも全島一を取ってもらいたい」と、徳之島王者を返上して移籍した。

 沖縄でも、徳之島で続けてきた育て方にこだわる。浜を歩かせて足腰を鍛え、若牛と稽古して首力をつける。いろいろな種類の新鮮な草を与えるだけでなく、ソーメンやみそ、スポーツドリンクの粉末などを食べさせて体を大きくする。夏バテしないように氷水に浸したタオルで体を冷やし、丁寧にマッサージもする。就寝後は、生命線である爪の汚れをブラシで落とすことも忘れない。

 源河牛舎は源大心など猛牛を輩出してきた名門牛舎だ。2019年の全島闘牛大会は、沖縄一まであと一歩だった。信繁さんの息子の薫さん(47)は「タイトルに手が届きかけた時もあった。また挑戦したいと思っていた」と淡々と語る。薫さんは「牛舎のみんなで協力して、牛のためにできることを全てやってきた」と述べ、静かに闘志を燃やしている。
 (古川峻)


 7日に県復帰50周年記念大闘牛大会、8日に全島闘牛大会がうるま市の石川多目的ドームで開催される。