首長、9条の認識変化 安保環境激変、影響か 本紙の憲法アンケート<解説>


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 憲法に関する本紙のアンケートでは、これまでの調査と同様にほとんどの首長が現行憲法を評価した。一方、憲法9条改定の必要性については「不要」「必要」「どちらでもない」が拮抗(きっこう)した。本紙が2019年に実施した前回調査と比べ、必要と回答する首長は倍増。9条に対する認識に変化が生じており、この3年で14人の首長が変わったことに加えて、日本を取り巻く安全保障環境の変化が背景にあるとみられる。

 19年の前回調査で9条改定が必要と回答した首長は6人だった一方、不要と回答した首長は19人から14人に減った。自衛隊の明文化についても同様の傾向で、賛成16人、反対9人と19年の前回調査時よりも賛成が7人増えている。

 明文化について、賛成意見として「自衛隊の南西防衛の強化は必要であり、明文化は当然」(渡名喜村長)などの意見が上がる一方、「国会での議論を見極め、判断する」(沖縄市長)との慎重論や「現行のままでも対応できる」(大宜味村長)との反対論も少なくない。

 77年前の悲惨な沖縄戦を体験した県民にとって、憲法9条が平和憲法の根幹であるとの意識は根強い。今回の調査では賛否を示さず、国会での議論を求める意見も相次いだ。岸田政権はコロナ禍やウクライナ危機を背景に改憲議論の進展を狙うが、国会においては丁寧な議論が求められる。 (吉田健一)