憲法記念日の5月3日に合わせ本紙が2日までに県内41市町村長を対象に実施した憲法に関するアンケートで、戦争放棄を定めた憲法9条を「変える必要がない」と回答した首長が、前回の2019年の調査時と比較し5人(12.2ポイント)減少した。ロシアのウクライナ侵攻などを踏まえ「議論を進めるべきだと感じた」などの声が上がっており、国際情勢の変化に伴い、考え方に揺らぎが生じつつあることが浮き彫りになった。
41市町村長のうち、19年は19人(46.3%)が「変える必要はない」で最多だった。今回も「必要がない」が最多だったが14人(34.1%)で、「変える必要がある」の13人(31.7%、前回比7人増)とほぼ同数だった。9条改定の支持者には、防衛省が自衛隊配備を進める石垣市や宮古島市、与那国町の首長が含まれる。
賛否を明確にしない「どちらでもない」は12人(29.3%)で、前回調査より3人増加した。
前回「変える必要はない」と回答した市町村長のうち、南城市、今帰仁村、国頭村は改選で首長が変わった。回答も「無回答」(古謝景春南城市長)、「どちらでもない」(知花靖国頭村長、久田浩也今帰仁村長)に変化した。
3年前の回答を見直す首長もいた。前回「変える必要はない」と答えた座間味秀勝渡嘉敷村長と浜田京介中城村長は「どちらでもない」に立場を変えた。座間味氏は「(ウクライナ情勢など)世界が混沌(こんとん)とした状況の中、変えるか変えないか、もっと議論を深める必要があると感じた」と述べた。
前回は「どちらでもない」だったが、「変える必要はない」に変えた首長も。山川仁豊見城市長は「今の世界情勢を踏まえると、9条は堅持するべきだ」と説明し、「平和憲法」の根幹となっていることを再評価する姿勢を示した。
(松堂秀樹、金城実倫、照屋大哲)