琉球新報が41市町村長と県関係国会議員9氏に実施した憲法アンケートでは現憲法を評価する意見が多くを占めた一方で、改憲の賛否は分かれた。自衛隊の位置付けを含む9条改定についても賛否が割れ、否定的意見が多かったこれまでの調査よりも改定を求める声が強まった。一方で政権与党の自民党が改憲案に盛り込む「緊急事態条項」について首長には浸透していない現状がうかがわれた。ロシアのウクライナ侵攻などを受けて高まる「非核三原則」の見直しや「核共有」の議論を求める声は、首長・国会議員ともに限定的なことも浮き彫りとなった。
自民党が改憲案に掲げる「緊急事態条項」は、大規模災害や武力攻撃発生時などの有事の際に政府の権限を強める条項だ。国会でも盛んに議論されており、アンケートでは自民議員と野党議員で賛否が割れた。
回答した自民3氏は「賛成」を選択。宮崎政久氏は国内では大規模災害の発生が想定されているとして「非常時の際、国会や行政の機能を維持し、国民の生命、財産を保護することができるよう、万全の備えが必要不可欠」とした。「(条項がなく)超法規的措置が取られるリスクより、平時から緊急事態を想定し、備える必要がある」(国場幸之助氏)との意見もあった。
一方、野党は4氏全員が「反対」と回答。赤嶺政賢氏(共産)は「東日本大震災や新型コロナ禍でも条項がないから対応できなかったという事態は起きていない。危機に便乗した改憲議論は許されない」と批判。伊波洋一氏(沖縄の風)は「国家権力の専横を憲法により拘束するという法の支配の原理を根底から否定する」などとして、必要性を真っ向から否定する見解が並んだ。
自民と政権を組む公明の金城泰邦氏は「議論不足」だとして、「どちらでもない」とした。
(大嶺雅俊)