自民改憲案の「緊急事態条項」への立場は? 沖縄の市町村長「明示せず」最多<琉球新報・憲法アンケート>


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 琉球新報が41市町村長と県関係国会議員9氏に実施した憲法アンケートでは現憲法を評価する意見が多くを占めた一方で、改憲の賛否は分かれた。自衛隊の位置付けを含む9条改定についても賛否が割れ、否定的意見が多かったこれまでの調査よりも改定を求める声が強まった。一方で政権与党の自民党が改憲案に盛り込む「緊急事態条項」について首長には浸透していない現状がうかがわれた。ロシアのウクライナ侵攻などを受けて高まる「非核三原則」の見直しや「核共有」の議論を求める声は、首長・国会議員ともに限定的なことも浮き彫りとなった。

 大規模自然災害や武力攻撃発生時に政府の権限を強める「緊急事態条項」の新設について、県内41市町村長の中では立場を明示しない「どちらでもない」が20人(48.8%)で最も多くなった。賛成は15人(36.6%)、反対は4人(9.8%)だった。

 「どちらでもない」と答えた首長からは「国会でも賛否が割れており、議論を注視する。国民に十分理解を得る必要があると考える」(城間幹子那覇市長)、「開かれた場で積極的な議論を求める。熟議を尽くすべき」(當銘真栄糸満市長)、「条項の詳細について判断材料が乏しい」(山川仁豊見城市長)などさらなる議論の必要性を求める声が多かった。

 賛成の首長には「国民の生命、安全を守るためには、私権の制限もあり得る」(比嘉朗渡名喜村長)、「国民の生活と安全を確保できるよう盛り込むべき」(平良武康本部町長)など平和維持のために必要との意見が見られた。

 一方で、反対する首長からは「現憲法等で対応できるのではないかと考える」(比嘉孝則北中城村長)との声も寄せられた。
 (名嘉一心)