パートナシップ制度 金城実倫・暮らし報道グループ


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written by 金城実倫(暮らし報道グループ)

 ハートのまち南城市を取材して3年目に入った。このまちに住む市民はとても温かい。取材をすると誰もが友人のように接してくれて、地域の話題や行事、世間話など、笑顔で話してくれる。とても優しくていい人たちばかりだ。

 市知念安座真にある南城美術館で3日までの約1カ月間、多様性をテーマにした企画展「いろんな想(アイ)のカタチ」が行われた。同性カップルや異性カップル、親子、友達など、人間は多様な「アイ」であふれていることを写真やアートで強く伝えていた。主催者の一人、比嘉利加さん(31)は同市在住。女性、男性のどちらにも当てはまらないと自認する「Xジェンダー」の当事者だ。「多様な愛の形があることを多くの方に知ってほしい」と短期間の準備で開催に踏み切った。

 比嘉さんは「いつか南城市を含めて、全県的にパートナーシップ制度を導入してほしい」と強く願う。現在、県内でパートナーシップ制度を導入する自治体は那覇市と浦添市のみ。「異性のパートナーだと、県内のどこでも自由に婚姻届を提出して結婚ができる。同性パートナーでも当たり前のように権利を認めてほしい。認めてくれたら自分らしく、堂々と生きていける」。至極まっとうな意見だ。

 1月、南城市長選で当選した古謝景春氏は、本紙が行った候補者アンケートで「(パートナーシップ制度について)任期中に取り組みたい」と記した。毎年8月10日のハートの日(南城市市民平和の日)には、市のマスコットキャラクター「なんじぃ」が市役所で婚姻届を提出するカップルを祝福している。この「ハートの日」に同性カップルが市役所を訪れ、虹色のハートであふれる日になることを願い、このまちを見詰めていきたい。

(南城市、与那原町、渡嘉敷村、座間味村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。