闘牛アナとして実況3000試合 マイク通し臨場感伝える 伊波大志さん <闘牛語やびら 復帰50年記念大会・全島大会>


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「闘牛をさらに楽しめる空間にしたい」と語る闘牛アナウンサーの伊波大志さん

 闘牛大会を盛り上げるのは、熱戦を繰り広げる闘牛、ヤグイ(掛け声)を掛ける勢子。そして、なんといっても実況アナウンス。臨場感あふれる実況が会場内に響き渡ると、呼応するように観客のボルテージが上昇していく。県内唯一の闘牛アナウンサー・伊波大志さん(37)=うるま市=は、これまで3千超の試合を担当してきた。「楽しめる空間にしたいという思いは誰よりも強いかも」。今日もマイクを握り、会場を沸かせる。

 20歳のころにラジオカーのリポーターとして働き始めた。その中で「地域のことや自分にしかできないしゃべりをしたい」との思いは強くなっていった。牛カラヤー(牛飼い)家系の強みを生かして、闘牛大会の結果を生中継する企画を提案。5分間のラジオ番組を任されるようになった。

 毎週末、牛舎に行き、牛主たちの話を配信し続け、つながりもできたころだった。古堅闘牛組合の佐久川政秀組合長から、同組合が主催する大会の「実況をやってみないか」と声を掛けられた。「やります」。迷いはなかった。

 初の実況は2010年3月の「全島一優勝旗準全島闘牛大会」。全島5度の防衛の酋長若虎と実力牛・古堅モータース号の結びの一番など好カードの連続で「試合の流れも最高で会場も盛り上がってやりやすかった」と振り返る。

 それをきっかけに、県闘牛組合連合会からも依頼が入り、10年の春の全島大会から、県内で開かれる年間約30~40試合のほとんどを担当する。「あの席、あの角度からは自分しか見られないっていう興奮もあって、やりがいもある」と話す。牛主としての顔も持つため「自分の牛が出る時はやりづらいけど」と笑う。

 7、8日に開かれる復帰50周年記念大会、全島大会も放送席でマイクを握る。「会場を沸かせるのが仕事と思っている。みんなの記憶に残る大会になるのは間違いないので、さらに濃く記憶に残るように盛り上げたい」。大会に懸ける思いは牛主にも勝る。
(新垣若菜)


 7日に復帰50周年記念大会、8日に全島大会がうるま市の石川多目的ドームで開催される。