次期那覇市長選、保革相乗りを容認?…城間那覇市長の発言が波紋<単眼複眼>


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引退を表明した会見を終え、退室する城間幹子那覇市長=2日午後、那覇市役所(又吉康秀撮影)

 2日に今期限りの引退を表明した城間幹子那覇市長の発言が、城間氏を支える与党の「オール沖縄」内でさまざまな臆測を呼んでいる。会見で発した「那覇市長選では自公か『オール沖縄』かという構図でなくてもよいのではないか」という内容だが、ある関係者は「自民党から推す声のある知念覚副市長を念頭に、相乗りを容認しているのか」といぶかる。与野党ともに知念氏が有力候補となる異例の事態で、従来の選挙構図に変化が生じる可能性も出てきた。

「与野党相乗り」いぶかる声 知念氏動向焦点、構図変化も

 「複数の候補が出てもいいということだ」。会見で城間氏は「相乗りでもいいのか」と問われ、こう釈明した。一方で「これまでの選挙があまりにも右か左かだった」「政治姿勢だけで選ぶことがないように、バランスよく考えられる方を市民に提示する環境をつくるのが引退までの役割だ」とも述べた。

 城間氏の発言はオール沖縄との距離を感じさせるが、ある与党市議は「辺野古移設反対の民意を堅持しつつ、保守中道にも支持を得られる政治の再構築をしなければという考えではないか」と受け止め、今後も連携する考えを示した。

 一方、自民党の市議団は同日、知念氏を選考委員会に推薦する方針を報道陣に示し、オール沖縄をけん制した。市議団の奥間亮幹事長は「城間市長自身が枠組みにとらわれないと話している。枠組みにとらわれない形で、知念副市長を後継者として、そこに自民も結束していく考えもあるのではないか」と語り、一部革新との相乗りによる擁立に含みを持たせた。

 知念氏は「正式な話は来ていない」として、出馬について明言を避けている。知念氏を知る関係者の中には「自公の候補としてではなく、一部の革新も乗る形なら出馬しやすいのではないか」との見方もある。

 オール沖縄側の候補は現時点で「白紙」で、連休明けに協議を始める予定だ。与党は候補者について「辺野古反対の姿勢であることは譲れない」と一致。「知念氏が辺野古反対なら彼がいい」という意見もあれば、知念氏の政治姿勢に疑念を抱く者もいる。

 自民党内にも「辺野古移設を容認し、あくまで自公の候補として出る人物でないといけない」と相乗りには否定的な声がある。自民関係者は「知念氏本人の意向も焦点だ」と語った。

  (伊佐尚記、大嶺雅俊、知念征尚)