仕事も沖縄も満喫 マッチング事業「おてつたび」、旅する若者、事業者つなぐ


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八谷耕平さん(右)指導の下、玉吊り作業に取り組む吉村ことはさん

 人手不足に悩む農家などと、報酬付きで手伝いをしながら各地を旅したい若者をマッチングする事業「おてつたび」の利用が、全国で広がっている。県内でも、夏場の収穫期に向け繁忙期を迎える東村のマンゴー農園・沖縄ゴールデンマンゴーファームが2日から6日まで、大阪大学外国語学部3年の吉村ことはさん(21)=愛媛県出身=を受け入れている。

 おてつたびは「お手伝い」をしながら「旅」を楽しむという造語で、人材マッチングサービス会社「おてつたび」=東京=が運営。今回の事業は農林水産省の補助事業の一環で、産直通販サイト「食べチョク」=東京=を運営するビビッドガーデンと合同で企画した。

「おてつたび」について語る八谷さん(左)と吉村さん=2日、東村の沖縄ゴールデンマンゴーファーム

 農家などの受け入れ側は、繁忙期などの短期の働き手を確保できる上、若者に地場産業や地域の魅力を知ってもらうきっかけにできる。参加者側は現地までの交通費の負担は自己負担だが、用意された宿泊場所に無料で住み込み、時給制で報酬を得ることができる。仕事の合間の自由時間に周辺の観光が楽しめるメリットもある。

 初日の2日、吉村さんは同ファーム共同代表の八谷耕平さんと、一つ一つの果実にしっかり太陽光が当たるようにひもを使って誘引する玉吊り作業を行った。期間中は果実に袋をかぶせる作業や摘果作業、収穫などにも挑戦する予定だ。

 吉村さんは元々予定していた海外への語学留学が新型コロナの影響で厳しくなったため「国内でできる未経験のことにチャレンジしよう」と気持ちを切り替えた。今回のおてつたびは、群馬県の草津温泉と長野県志賀高原の飲食店に続き3回目の参加で「行く先々の体験で視野が広がり、日本がもっと好きになる」とその魅力を語る。今回は農作業を通して、自身が普段口にしている食材がいかに手間暇かけて作られているかを学んだといい「食材の選び方や食品ロスへの意識も大きく変わった」と話す。

 八谷さんは「慢性的に人手は足りていないので、とても助かる。作業を通して農業だけでなく、世界自然遺産を育んだ沖縄の大自然にも関心を持ってもらえればうれしい」と期待した。
 (当銘千絵、写真も)