【深掘り】日米防衛相会談で確認された「復帰50周年を迎える沖縄の負担軽減」とは


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会談に臨む岸信夫防衛相(左端)とオースティン米国防長官(右端)=4日(日本時間5日)、米国防総省(防衛省提供)

 4日(日本時間5日)に米ワシントン郊外の国防総省であった日米防衛相会談で、岸信夫防衛相とオースティン国防長官は「本土復帰50周年を迎える沖縄の負担軽減」(防衛省)について重要性を確認した。一方、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設推進は堅持した。過重な基地負担という復帰時に残した課題を50年解決できていないにもかかわらず、日米同盟の重要拠点としてさらなる役割を沖縄に負わせる両政府の姿勢が改めて浮き彫りとなる。

 会談で沖縄が日本に復帰して50年の節目となることが話題に上がったことについて、防衛省関係者は「復帰50年だろうがそうでなかろうが重要だと考えている。ただ、思いを新たにし、引き続き取り組みを進めることを確認した」と強調した。

 日米両政府が指す「負担軽減」は、嘉手納より南の施設の返還を掲げる統合計画が念頭だ。だが、県内移設の条件付きが多く、全てを達成しても沖縄が抱える米軍専用施設の全国比は約69%にしかならない。施設が更新されて、米軍にとって使い勝手が増す可能性もある。県民が求める「負担軽減」との隔たりが際立つ。

 尖閣諸島に関しても両氏は中国の行動を踏まえ、必要があれば連携して対処する方針を確かめた。日米が一体化を強めることで訓練頻度が増し、沖縄の基地負担が重くなる恐れがある。

 辺野古新基地建設を巡っては埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかって完成までに少なくとも12年掛かることが確定しており、その分、普天間飛行場が固定化されることになる。

 日米両政府は辺野古移設の方針を見直すそぶりを見せないどころか、普天間周辺で続く危険性の責任を県に転嫁する向きもある。防衛省幹部は「知事が承認せず完成が遅れるほど、普天間飛行場の返還が遅れて住民が困るだけだ。早く決着を見たい」と話した。

 (明真南斗)