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「一番面白いもの、一番奥に」 北部テーマパーク事業、運営会社社長に聞く


この記事を書いた人 Avatar photo 梅田 正覚
「沖縄の大自然を生かし、消費者が旅に求める非日常を提供したい」と強調するジャパンエンターテイメントの加藤健史社長=4月19日、那覇市の琉球新報社

 名護市と今帰仁村にまたがるオリオン嵐山ゴルフ倶楽部跡地に計画される北部テーマパーク事業の開業準備が着々と進んでいる。2025年前後の開業を目指す運営会社のジャパンエンターテイメント(名護市)の加藤健史社長が5日までに、本紙の取材に応じた。自然を生かした体験型テーマパークの詳細は控えつつも、「一般的なテーマパークのロジックでもあるが、一番面白いものは一番奥(北部)に造らないといけない」と強調。沖縄観光の重心を中南部から北部に転換させる一助となる決意を示した。

 加藤社長は、沖縄本島の観光産業は玄関口の那覇空港をはじめとして中南部に重心が置かれていると指摘。「一般的な観光客は南から北部に行き、半分くらいが沖縄美ら海水族館(本部町)に行く。周辺を回ってまた南に帰って宿泊する」と説明した。

 県の20年度観光統計実態調査によると、「那覇」に宿泊すると回答したのは最も多い4割だった。加藤社長は、約2~3時間の平均滞在時間がある美ら海水族館に加えて、同社のテーマパークで北部への滞在時間を数時間延ばすことが可能とする。「北部に一泊する需要を喚起できる。北部への滞在時間が延びることによって周辺の消費単価が上がり、北部の経済発展に貢献できる」と語った。

 沖縄の魅力として、飛行機で4時間圏内にアジアの主要都市など約20億人が住む市場があることに加え、世界自然遺産に登録されたやんばるをはじめとした独特な自然や文化などの存在を挙げた。「沖縄には経済発展するアジアの富裕層を引きつけるポテンシャルがある」と語った。

北部テーマパーク事業の建設予定地のオリオン嵐山ゴルフ倶楽部跡地(提供)

 現在同社は環境影響評価(アセスメント)の手続きを進めており、早ければ年内にも終了する。その後、開発許可の申請の手続きに至る。県内外からの資金調達も順調に推移しているとした。

 同事業は、県が第6次沖縄振興計画で掲げる北部振興や「量から質」への高付加価値型の観光産業の転換に向けた起爆剤として期待される。北部市町村会長の當眞淳宜野座村長は「北部は『素通り観光』が課題だ。事業を通して滞在型観光に転換し、若者に魅力のある街づくりや雇用創出などで北部全体の発展に貢献することを期待している」と語った。 

(梅田正覚)