愛牛、復帰記念の3大会出場に驚き 石垣で育成し成長に感謝 玉代勢泰寛さん・光子さん <闘牛語やびら 復帰50年記念大会・全島大会>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
石垣市登野城で泰寛さん(右)と光子さん、現在の愛牛・小浜光ちゃん号(中央)、パンダ光ちゃん号(左奥)=2022年5月3日

 石垣市大川で闘牛を育てる玉代勢泰寛さん(75)と妻の光子さん(70)は1972年の復帰記念大会、92年の復帰20年大会のいずれにも愛牛を出場させた。7日に開かれる50周年記念大会には、以前育てていた「琉球煌荒(りゅうきゅうこあら)」(元・八重山光ちゃん号)が登場する。自身と関わる牛が「復帰記念」を冠した大会に出るのは3回目。今回の対戦表を目にして初めてそのことに気づいた泰寛さん。「さすがに驚いた。こんなことなかなかないよね。本当に運がいいはず」と笑顔を見せる。当日は応援に駆けつけるつもりだ。

 72年の復帰記念大会は初日の横綱戦に、友人から800ドルで譲り受け、4歳ごろまで世話した「登野城台風」が出場。42秒での勝利に大喜びした。

復帰20周年記念大会で優勝した光ちゃん号と牛主の玉代勢光子さん(中央)、泰寛さん(左端)、息子の元さん=1992年3月22日、名護市(提供)

 全国から精鋭牛が選ばれる記念大会。復帰20年大会は、「光ちゃん号」が八重山代表の出場牛に選ばれた。息子の元さんの高校入学祝いにと、本島に5週間連続で通い、手に入れた愛牛だった。大会当日は、親子3人で、ヤグイ(掛け声)を掛ける勢子としても参加した。「勝利した時は、うれしくてうれしくて思わず背中に飛び乗ったよ」と光子さん。冷静になってから周囲を見回すと、人であふれかえる会場に驚いたという。

 今大会に出る琉球煌荒は、息子の元さんから託されて泰寛さんが石垣で3歳ごろまで育てていた闘牛だ。当初は譲ることは考えていなかったが、ほかの牛主に「懇願されて、しぶしぶ譲った」と振り返る。対戦表に「元・八重山光ちゃん号」との記載があり、気がついた。「大会に出るまで成長してくれてありがとうと言いたい。対戦相手には悪いけど、ぜひ勝ってほしいね」。元愛牛にエールを送る。

 (新垣若菜)
 (おわり)

 


 7日に県復帰50周年記念大闘牛大会、8日に全島闘牛大会がうるま市の石川多目的ドームで開催される。