独立のステップを慎重に検討した現実味のある提言になっている。日本政府の政治手法や、政権との距離感をよく知る上原氏だからこそ書けた内容だ。若い世代にとって沖縄は初めから日本の一部で、次第に独立論は薄れてきているが、25年前に出版されていたら大きな反響があっただろう。経済政策や地方自治の在り方にも検討を加えており、琉球独立学会などで現在議論されている独立論を先取りしている。ただ、一国二制度では対象が沖縄だけに限定される。日本の他地域を巻き込んだ運動に結びつけるには、一国多制度を唱えた方がよかったと感じる。
(共同通信)