きょう「黒糖の日」 パンにスイーツ、酎ハイやビール…まろやか甘み生かす 消費増へ商品続々


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セブンーイレブンの「沖縄フェア」で発売された黒糖を使った商品

 5月10日は「黒糖の日」。コロナで観光需要が落ち込み、在庫過多となった黒糖の消費拡大を図るために県内メーカーの商品開発や販路拡大が精力的に行われている。黒島結菜さんら県出身、関係有名人を黒糖アンバサダーに任命するなど業界によるPRも活発化している。各方面の支援で過剰在庫は1年で約8千トン減少。県黒砂糖工業会は「コロナ前の水準には戻っていないが、1年前の危機的状況は脱した」と感謝する。

 セブン―イレブン沖縄(那覇市)は昨年、黒糖の消費拡大を図るためにロールケーキとメロンパンを開発し、県内で発売した。今年4月には全国2万1301店で「沖縄フェア」を開催。黒糖を使用したパンやスイーツ9品を販売した。

 中でも人気だったのが「黒糖メロンパンきなこクリーム」。期間中の販売数はパンカテゴリーの上位にランクインした。同社は「今後も黒糖を使用した商品の販売を検討していきたい」としている。

 オリオンビール(豊見城市)も黒糖の日に合わせ、缶酎ハイ「WATTA(ワッタ)黒糖梅酒サワー」を10日に発売する。昨年販売した「75ビールスタウト」でも県産黒糖を使用。石井芳典執行役員・R&D部長は「ミネラルが豊富で、まろやかな甘みを出せる」とお酒の原材料としての黒糖の魅力を語る。

 県外では調味料のイメージが強い黒糖を菓子として売り出すため、オキコは昨年10月、黒糖の包装事業に特化した工場を整備。大量に出荷できる体制を整え、販路拡大に取り組んでいる。

 国や県による支援事業も活発化している。今年1月には俳優の黒島結菜さん、バンドHY、サッカー元日本代表で沖縄SVの監督兼選手の高原直泰さんを黒糖のアンバサダーに任命。黒島さんは4月下旬、俳優の杏さんのユーチューブチャンネルにゲスト出演し、黒糖を使ったラフテー、サーターアンダギー、黒糖チャイを調理しPRした。

 県黒砂糖工業会によると、県内8離島にある黒糖(含蜜糖)製糖工場や県内外の流通業者が抱えていた在庫は、昨年5月時点で1万6千トンに上ったが、今年3月末時点で7700トンまで減少した。西村真専務理事は「多くのメーカーに黒糖を使った商品を作っていただいたおかげ。若い人や県外の人向けに食べ方をさらにPRしていきたい」と話した。
 (玉城江梨子)