自衛隊配備の強化容認、県内55% 台湾有事への懸念高まりが背景に 新報・毎日世論調査


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陸上自衛隊宮古島駐屯地(資料写真)

 琉球新報と毎日新聞が実施した復帰50年の合同世論調査では、県内・全国とも復帰を高評価したが、沖縄の米軍基地負担については意識の差が表れた。在日米軍基地の沖縄への集中を「不平等」だとする意見は、県内では6割に達したが、全国は4割にとどまる。さらに県内・全国とも日米安全保障体制をおおむね評価し、中国の軍事力強化を不安視するが、全国の過半数が沖縄の米軍基地が自らの住む地域には来てほしくないと回答した。復帰50年が経過しながらも、沖縄への「基地の押し付け」を是認する姿勢が浮かび上がった。

 政府が中国や台湾に近い沖縄への自衛隊配備を強化していることに対して、県内調査では「強化すべきだ」が55%に上り、「強化すべきでない」の16%を39ポイント上回った。ウクライナ情勢を受けて台湾有事への懸念が高まりもあり、専守防衛の組織として自衛隊の配備を過半数が容認した形となった。

 陸上自衛隊の「南西シフト」に伴い、1972年の日本復帰に伴う自衛隊の配備以降、初めての駐屯地建設として、16年に与那国駐屯地が設置された。さらに、宮古島、石垣島への自衛隊基地建設が進めるなど、県内での配備強化の動きが加速度的に進んでいる。

 宮古、石垣のいずれの地域でも反対意見も根強く残っているが、調査の回答者の割合は、宮古で1%未満、八重山は1%にとどまった。配備強化が進む両地域の意思が反映されたか評価が難しい結果となった。

 中国の海洋戦略構想で「第一列島線」上にある南西諸島では中国の動きが活発化している。中国は21年2月に、海警局に武器使用を認める海警法を施行。21年の中国公船による尖閣周辺の領海侵入は過去最多の延べ40日に上り、領海外側の接続水域でも活発な動きを見せている。

 中国の動きに加え、台湾有事が起きれば、沖縄が再び戦場になるという県民の危機感が、自衛隊の配備強化を求める意見につながった可能性がある。

(池田哲平)