沖縄県の玉城デニー知事は10日午後、首相官邸を訪れ、沖縄の日本復帰50年の節目に合わせて作成した「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」を岸田文雄首相に手渡した。
面談後、取材に応じた玉城知事によると、岸田首相は「しっかり受けとめたい。県民との意思疎通を図り、思いをもって建議書を読ませていただく」などと述べたという。 玉城知事は「この建議書を読み、沖縄の思いを改めて胸にしっかりと受け止めていただけるであろうと期待している」と話した。
沖縄側が建議書を作成し、日本政府に示すのは1971年11月以来、2度目。当時の琉球政府の屋良朝苗主席は返還協定を審議中の沖縄国会に建議書を上程しようと上京したが、自民党の強行採決により開会中の手交はできなかった。
新たな建議書は、米施政権下で起きた事件事故、復帰後の沖縄振興などに触れ「復帰時に県と政府が共有した『沖縄を平和の島とする』目標は、50年が経過した現在においても、いまだ達成されていない」などと指摘。その上で、米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設の断念や、日米地位協定の抜本的改定などを政府に求めている。