沖縄本島の病床69%使用 医療者欠勤で稼働減 コロナ2702人最多


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感染拡大で厳しくなる沖縄本島の病床確保(資料写真)

 新型コロナウイルスの新規感染者が2702人と過去最多を更新する中、医療現場では感染などによる欠勤者の増加で病床確保が難しくなっている。県は病床確保数を631床と発表してきたが、稼働できる病床は11日午前11時現在537床で、本島圏域では実際の病床使用率は69%になると明らかにした。医療提供体制の逼迫(ひっぱく)度は増しており、病床使用率は数字上でまん延防止等重点措置の検討基準である60%を超えている現状だ。

 11日の入院患者は335人で、県の病床使用率は53.1%だった。圏域別では本島55.7%、宮古57.6%、八重山15.9%となっている。21重点医療機関では感染などにより499人の医療従事者が欠勤しており、人繰りの難しさから病床使用率は県発表より高いとみられる。

 一方で、医療機関によっては一般医療に人員を投入した結果、一時的に新型コロナ専用病床の数が減る例もあり、確保病床は流動的な部分もある。県は病床不足に陥らないよう、入院待機ステーションを活用しつつ、医療機関と人繰りを調整しているという。

 重点医療機関の体制が逼迫しているため、同機関以外の病院で感染者が発生した場合はそのまま治療を続けており、10日時点では離島を含め7病院で四十数人が治療をしているという。県内ではコロナ以外の一般医療の病床使用率も慢性的に高く、11日は本島全体で95.2%で、地域別では中部99.1%、北部97.9%、那覇96%などと余裕がない状況だ。

 県の宮里義久感染対策統括監は「中南部の医療機関では救急搬送の夜間受け入れを制限しており、一般診療や発熱外来にも影響が及んでいる。医療逼迫を避けるため、県民には市販薬を備蓄するなどの対応をとっていただきたい」と協力を呼び掛けた。
 (嘉陽拓也)