高校生の調査が学術論文に! ミヤコカナヘビ分布を掲載 宮古高科学部「すごくうれしい」


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ミヤコカナヘビの過去の分布状況を調査した県立宮古高校科学部の生徒たち(当時)=2020年2月(才木美香さん提供)

 高校生の調査が学術論文に―。宮古諸島だけに生息する固有種で絶滅危惧種のトカゲ「ミヤコカナヘビ」の過去の分布状況を調査した宮古高校科学部の成果がこのほど、沖縄生物学会誌に掲載された。在学中に調査を担った卒業生は「学術誌に載って、すごくうれしい。科学部の仲間は誇り。みんなに活動を自慢したい」と喜んでいる。

才木美香さん

 ミヤコカナヘビは緑色で細長く、成体の体長は6センチ程度、長い尾を含むと25センチ以上になるのが特徴。2010年代に入って生息数が著しく減っていると指摘され、環境省も21年に保護増殖事業計画を立てている。しかし、1996年に固有種の新種と分かるまではアオカナヘビと混同されていたため、過去の生息状況に関する研究は少ない。

 19年に科学部の生徒7人は、当時50~100歳の208人にかつて目撃した年代、場所などの聞き取り調査を行った。結果、調査時は宮古島中央部から西部でしか目撃されていなかったミヤコカナヘビが、1950~70年代は東部でも多数目撃されていたことを明らかにした。調査をまとめた発表は2020年の第42回沖縄青少年科学作品展で県知事賞に輝いた。

 学術誌に掲載された論文は、生徒の研究指導に当たったNPO法人「どうぶつたちの病院 沖縄」の才木美香さん(30)が生徒の調査を基に学術論文に仕上げたもの。生徒7人も執筆者に名を連ねている。

 生徒の一人、伊川佳那さん(19)は才木さん、顧問の儀間朝宜(とものり)教諭らの指導の下、仲間と質問を練り上げ、目撃年代、場所を絞り込んでいった。調査をまとめた時の達成感は今も変わらず大きいという。調査は大学進学のきっかけになったといい、「科学部のような部活動を後輩たちにも経験してほしい」と話す。現在は東京農大農学部の動物科学科で教育・研究職を志して学業に励んでいる。

 才木さんは調査当時、生徒もミヤコカナヘビの存在すら知らなかったと振り返る。生徒の成果が学術誌に掲載されたことで「まず地元に固有種・絶滅危惧種がいることを知ってもらい、昔のように今の子どもたちが触れ、遊べるような環境をどう取り戻すか、考えるきっかけにしてほしい」と語った。
 (安里周悟)

宮古諸島の固有種で絶滅危惧種に指定されているトカゲ「ミヤコカナヘビ」(才木美香さん提供)