歴史教育の改善、必要性を強調「大航海時代と戦国日本」直木賞作家の安部龍太郎氏が講演 琉球フォーラム


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琉球フォーラムで講演する安部龍太郎さん=11日、那覇市おもろまちのザ・ナハテラス(小川昌宏撮影)

 会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・玻名城泰山琉球新報社長)の5月例会が11日、那覇市おもろまちのザ・ナハテラスで開かれた。直木賞作家の安部龍太郎氏が「大航海時代と戦国日本」と題し、講演した。

 安部氏は江戸時代に関する歴史教育でポルトガル人が偶然、種子島に来て鉄砲が伝来したという説明は間違いであり、経済的利益を得るために鉄砲を伝来させたと指摘した。キリスト教圏復活を目指したスペインとポルトガルはイベリア半島を支配し「両国はイスラム勢力との戦いで経済的に疲弊したこともあり、植民地を作り収奪する体制を取った」と話した。

安部龍太郎さんの講演に耳を傾ける琉球フォーラムの会員たち

 鉄砲を使うには木炭と硝石、硫黄から成る火薬と鉛が必要。当時日本で硝石は取れず、鉛も多くは輸入した。ポルトガルは日本に硝石と鉛を売り銀を得た。「スペインとの権益争いで、ポルトガルは石見銀山の銀に目を付け、日本に鉄砲を売り込んだ」と述べた。

 安部さんは「日本の歴史教育は壊滅的に悪い。特に戦国時代。半分はうそと言える」と語り、理由の1つに「江戸幕府が鎖国をしたので250年間が鎖国史観で語られてしまった」と歴史教育の改善の必要性を訴えた。
 (狩俣悠喜)