政府と沖縄県が共催で開く「沖縄復帰50周年記念式典」が15日午後2時から、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターと東京会場のグランドプリンスホテル新高輪を中継でつなぎ、開かれた。沖縄会場で出席した岸田文雄首相は式辞で、「復帰から50年がたつ今もなお、沖縄の皆さまには大きな基地負担を担っていただいている。政府として重く受け止め、引き続き、基地負担軽減に全力で取り組む」と述べた。
その上で岸田首相は、沖縄市と北中城村にまたがるキャンプ瑞慶覧ロウワー・プラザ住宅地区(約23ヘクタール)について、返還に先立ち、来年度をめどに、緑地公園として利用できるよう日米で合意したことを明らかにした。同地区は2013年に日米で合意した「嘉手納より南の米軍基地の返還・統合計画」で、返還時期は2024年度以降とされていた。岸田首相は、沖縄振興特別措置法に基づく政策展開を進め「強い沖縄経済」の実現にも意欲を示し、沖縄科学技術大学院大学への支援、焼失した首里城正殿を11月に着工する方針などを述べた。
玉城デニー県知事は式辞で、在日米軍専用施設面積の約70%が沖縄に集中していることなど、過重な基地負担に触れ「すべての県民が真に、幸福を実感できる平和で豊かな沖縄の実現に向けて誠心誠意取り組んでほしい」などと述べた。県が反対する米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設に伴う名護市新基地建設についての言及はなかった。
式典には天皇皇后両陛下がオンラインで参加した。沖縄会場には県内市町村長や市町村議員、経済関係者などが出席。式典には東京会場516人、沖縄会場781人の計1297人が参加した。