沖縄の米軍弾薬庫、自衛隊が共同使用 日米両政府内で案が浮上 


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米空軍の嘉手納弾薬庫=2000年5月24日(資料写真)

 沖縄県内にある米軍弾薬庫について、自衛隊が共同使用する案が日米両政府内に浮上していることが分かった。軍備拡大を続ける中国を念頭に、南西諸島の防衛体制を強化する狙い。複数の政府関係者が14日、明らかにした。

 15日は沖縄の日本復帰50年。米軍の基地機能や自衛隊の能力の向上に加え、日米一体化が加速している実態が改めて浮かび上がった形だ。

 米軍は沖縄県内に、嘉手納弾薬庫地区などを保有する。共同使用が実現すれば、自衛隊にとって、有事の際の弾薬確保に役立ち、戦闘を継続する「継戦能力」維持につながるとの利点もある。

 日米両政府は1月の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書に、南西諸島にある米軍や自衛隊の施設の共同使用促進を明記した。玉城デニー知事は最近の南西諸島での自衛隊増強を踏まえ「共同使用が加わると、県民が大きな不安を抱える。やるべきでない」と反発した経緯がある。

 防衛省内では、ソ連を見据えた北方重視に伴い、南西諸島が「空白化」していたとの危機意識がある。南西諸島でのミサイル部隊強化を急いでおり、2023年度には沖縄本島のうるま市に配備する計画だ。

 関係者によると、沖縄で弾薬庫向けの用地を取得するのは容易ではなく、国内各地から移送するより、米軍の既存施設を共同使用した方が有事対応の観点からも得策との判断もある。

 岸信夫防衛相は1月の2プラス2後の記者会見で日米共同使用を巡り「(自衛隊と米軍の)相互運用性の拡大などの観点から、充実すべき分野の一つだ」と強調した。


用語 自衛隊と米軍の一体化

 日米安全保障条約第5条は米国の日本防衛義務を定める。自衛隊の任務を拡大し、集団的自衛権行使を認めた安全保障関連法が2015年に成立。自衛隊が米軍の艦艇や航空機などを守る「武器等防護」は増加している。共同訓練も活発化し、実戦的な内容になりつつある。今年4月に行われた東シナ海などでの訓練では、自衛隊から離島防衛専門部隊「水陸機動団」やイージス艦、戦闘機が参加した。米軍無人偵察機「MQ9」を海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県)に一時配備する構想もある。

(共同通信)