玉城デニー知事は式辞で、県民が過重な基地負担を強いられる現状などに触れ、政府に対して「県民が渇望し続ける復帰の意義と恒久平和の重要性について、認識の共有を図り、平和で豊かな沖縄の実現に向けて誠心誠意取り組んでほしい」と求めた。辺野古新基地建設問題には直接的な言及を避けた。
玉城知事は、沖縄に在日米軍専用施設の約7割が集中していることや、米軍人・軍属の事件・事故や騒音、環境汚染など過重な基地負担を強いられることに言及した。県が復帰50年で日本政府などに提出した建議書にも触れ「復帰にあたって県と政府が共有した『沖縄を平和の島とする』という目標が、達成されていない」と強調した。
沖縄戦で約20万人の命や県民の財産のほとんどが失われたことや米統治下にあった27年間での産業の発展の立ち遅れ、復帰後の社会経済の進展など、戦中・戦後史を振り返った。子どもの貧困やぜい弱な産業構造など現状の課題にも言及した。
沖縄の未来像として、万国津梁の精神の下でアジア太平洋地域の持続的安定と平和に貢献し、県民が描く自立と自主性が尊重された「時代を切り拓き、世界と交流し、ともに支え合う平和で豊かな美ら島」を掲げ、実現に向けて力強く進むことを誓った。
(塚崎昇平)