岸田文雄首相は、米施政下に置かれた沖縄の日本復帰は「県民と国民全体の悲願として実現した。戦争で失われた領土を外交交渉で回復したことは史上まれなこと」と強調した。復帰以降、政府が5次にわたり沖縄振興計画や各種特別措置などを講じ「(発展の)歩みを後押ししてきた」とした。3月に成立した改正沖縄振興特別措置法などの政策手段を用い「沖縄の潜在力を最大限に引き出し、強い沖縄経済を実現する」と力を込めた。
今もなお残る基地問題については「大きな基地負担を担ってもらっていることを政府として重く受け止め、引き続き、負担軽減に全力で取り組む」と述べた。沖縄県が求めている日米地位協定の改定については、式辞では触れなかった。式典後の報道陣の取材には「具体的な課題に迅速、的確に対応するために何をするべきか、今後も絶えず検討していかなければならない」と述べた。
火災で焼失した首里城正殿の復元については、26年秋の完成を目指して今年11月に本体工事に着手し、関連セレモニーを開催すると言及した。
復帰50年の節目を迎え「沖縄がアジア太平洋地域に、そして世界に力強く羽ばたいていく新たな時代の幕が開けたと感じる」と話した。
(武井悠、梅田正覚)