「芭蕉布」「てぃんさぐぬ花」那覇高生が合唱 南風原高生は琉舞を披露<復帰50年式典>


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 日本復帰から50年の節目となった15日、東京と沖縄では沖縄県と日本政府主催の「沖縄復帰50周年記念式典」が開かれた。式典や式典後のレセプションでは若い世代が躍動し、次代を担う若者らの力強さが沖縄の明るい未来を想起させた。県出身のテノール歌手、新垣勉さんが国歌独唱を担当。空手の形の演武も披露された。


真っすぐな歌声届け

沖縄復帰50周年記念式典の終盤、「てぃんさぐぬ花」など美声を披露する那覇高合唱部のメンバー=15日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター(又吉康秀撮影)

 那覇高校合唱部は、記念式典で「芭蕉布」「じんじん」「てぃんさぐぬ花」の3曲を披露した。天皇皇后両陛下や岸田文雄首相ら多くが見守る中、8人のメンバーが舞台に1列に並び、真っすぐに歌声を届けた。

 3年の比嘉有希さん(17)は「自分たちは復帰を体験していないが、式典に参加したことで(日本復帰の)実感が持てた」と話す。

 同校は1972年5月15日に那覇市民会館であった「新沖縄県記念式典」にも出演し「沖縄県民の歌」を初披露した。50年後、後輩らが再び節目の舞台を踏んだ。式典後のレセプションでもTHE BOOMの宮沢和史さんらと一緒に未来を感じさせる歌声を披露した。

 比嘉さんは「50年にわたってずっとつないできたものがあるからこそ、自分たちが生活できている。式典に出演したという経験を県民として伝えていきたい」と話した。
 (中村優希)

記念式典レセプションで琉舞を披露する南風原高校郷土芸能部(小川昌宏撮影)

大舞台 生き生きと

 レセプションに登場した南風原高校郷土芸能部は、活気あふれる「黒島口説」を披露した。人間国宝らによる厳かな「かぎやで風」に続き、緊張に包まれた会場を一変させた。12人の立ち方が舞台をいっぱいに使って生き生きと踊った。地謡、立ち方ともに女子生徒らの力強い歌声とはやしが会場中に響き渡り、若いパワーを感じさせた。

 4月から新1年生が新たなメンバーとして加わり、約1カ月間、集中的に練習に取り組んだ。

 出演した3年の志喜屋有未(あみ)さん(17)は、本番前まで、テレビ番組などで復帰50年の特集が盛んに取り上げられているのを見て、舞台の大きさを感じていた。

 志喜屋さんは「こんな大きい舞台に、立たせてもらえるのがとてもうれしかった」と声を弾ませた。50年後に向けて「芸能家としてでも、そうでなくても、きょうの式典に出た一人として、復帰100年にも出たい」と話した。
 (中村優希)