【記者解説】辺野古設計変更、沖縄県が係争委に申し出 対応のポイント、今後の展開は?


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 辺野古新基地建設の設計変更不承認を巡って、県が不承認を取り消した国交相裁決に加え、承認を求められた是正指示でも国地方係争処理委員会(係争委)への申し出を決めたのは、県の判断の正当性を主張するためだ。期限内に提起可能な対抗措置を取らなければ「国の主張を認めたことになる」(関係者)との認識もある。

 県は指示で承認期限だった16日、係争委へ申し出する方針などを国交相に通知した。県は設計変更承認は拒否したものの、期限に合わせて対応した。是正指示には法的な拘束力があるため、係争委審査や法廷闘争も念頭に、対応しないままの期限超過を避けたとみられる。

 係争委は国と自治体の関係を「上下・主従」から「対等・協力」に転換した1999年の地方自治法改正に伴い、2000年に設置された。自治体の申し出に基づいて、審査し「国の関与」が違法・不当と判断されれば、関係省庁に対応を改めるよう勧告する。

 辺野古新基地建設で、国側は私人救済を目的にした行政不服審査法に基づき県の設計変更不承認を取り消し、是正指示で承認を求めた。国の機関「沖縄防衛局」による行政不服審査法利用は学者などから批判が多い上、不承認を取り消した国交相裁決も防衛局の主張をほぼ追認した。

 係争委には、新基地建設問題を巡る県と国の力関係を踏まえ、国と自治体の関係を「対等・協力」と捉える地方自治を実現するため、厳正な判断が求められる。 (塚崎昇平)